Partager

第2話 『枕』って隠喩ですよね?

Auteur: エスツー
last update Date de publication: 2025-07-18 11:07:37

 △△(side:ロゼ)

 アーゼちゃん(リリアーゼ・バレスチカお嬢様の愛称)に手を引かれ、彼女の自室へと連れ込まれたあたし、ロゼはその場に直立し、自身へと下される沙汰を待ってました。

 彼女の部屋にあるのはティーセットとダブルサイズのベッド、ソファー、そして勉強机と棚に収められた沢山の本(意外にもアーゼちゃんは勉強家なのです)ぐらいで、貴族にありがちな華美な装飾品等は見受けられません。

 バレスチカ家は実用性のない物を嫌う家系なのです。

「さて、ロゼ。このわたくしを地べたに叩きつけてくださりやがったあなたに下す罰なのだけれど」

 自分から勝手に転倒したにも関わらず、滅茶苦茶な言い分で責任転嫁しながら、くるりと反転してこちらを向くアーゼちゃん。

 腰まで伸ばした艶のある綺麗な黒髪、まるで吸い込まれそうな程に大きく綺麗な黒の瞳、スッと通った鼻筋に形のいい桜色の唇、そして黒を基調とした質の良いゴシックドレスに黒タイツに包まれた引き締まったおみ足。

 相変わらずすっごい美人です。

 あたしは正直、お顔だけならこの子の右に出る者はいないと思ってます。

 恐ろしさを感じる程に端正な顔立ちをした、どこからどう見ても絶世の美少女である彼女ですが、今はその口角は吊り上がり、あたしを値踏みするような目で見つめていました。

 あたしと会話する際の彼女は大抵このような表情を浮かべるのです。

「『椅子』の役割も満足にこなせないあなたにはこれから『枕』になってもらう事にしますわ」

「あ……」

 アーゼちゃんから罰の内容を聞いて、あたしは絶望のあまり膝から崩れ落ちました。

『枕』になる。

 これは『客を取って男に抱かれろ』の比喩である事ぐらい、まだ成人していないあたしでも分かります。

 バレスチカ子爵家はお金に困っている訳ではないのでこれは純粋にあたしの事を用済みになったから処分するという事。

 元いたとある貴族家で行き場をなくし、貧民街でさまよっていたところをアーゼちゃんに拾われ、ロゼという名を与えられ彼女の専属メイドとして雇われはや3年。

 椅子がわりにされたりと非常識な事をさせられる事もあったけれど、この美しい少女から愛称で呼ぶ事を許され、強い感情を向けられ構ってもらえる事にあたしは一種の満足感を感じていたのです。

 でも、それも今日で終わる。

 自覚すると瞳からじんわりと涙が迫り上がってきました。

「んちゅっ……はぁん。うふふ、いい顔になってきましたわね」

 アーゼちゃんはあたしの頬を伝う涙を指で掬うと自らの形の整った美しい唇へと運び、ぺろりと舐め取ります。

 その顔はどこか赤らんでいて、恍惚とした表情に見えました。

「でもこれだけじゃ終わらせませんことよ?……服をお脱ぎなさい」

「……はい」

 身に纏ったメイド服を1枚1枚脱いでいき、畳んで椅子の上に置きます。

 アーゼちゃんはこれからあたしの品定めをしようとしているのでしょう。

 彼女にとってはあたしの貧相な身体を見たところで楽しくも何とも思わないでしょうけれど、こうして脱衣所でもお風呂場でもない場所で下着姿を晒す事にあたしは強い羞恥心を感じていたのです。

「んっ……」

 不意にアーゼちゃんに二の腕を撫でられた事でピクンと身体が震えます。

 彼女はそのままその綺麗なお顔を近付けると、食い入るようにしてあたしの身体を見つめてきました。

 ここでの食事は使用人の物であっても充分な質と量が確保されている事もあってあたしの肉付きもそう悪い物ではなく、お陰様で14歳にして身長も150cmと標準より少し低めではあるものの、順調な成長を遂げる事が出来てます。

 ですがあたしより身長が10cm程高く、胸部の発育も良いアーゼちゃんにこんな貧相な身体を見せる事は申し訳なさすら感じてしまうのです。

「あうっ……」

 アーゼちゃんがあたしの品定めをしてる間、時折り肌に彼女のお口から漏れた吐息がかかります。

 その度にあたしはむず痒さを覚え、つい身を捩ってしまうのでした。

「身体は合格。でも下着が見窄らしすぎますわね。スバセにもっと質の良い物を用意させましょう。このままでは『枕』に相応しくありませんわ」

 スバセ様はバレスチカ子爵家の家令を務められている方です。

 それはさておき、アーゼちゃんから男を誘惑するだけの色気がないと言われてしまいました。

 その発言から彼女が冗談ではなく本気であたしを売るつもりなんだという事実を突きつけられる事となってしまい、泣きたい気持ちになってきます。

「まぁ今日のところは良いですわ。ベッドの上に上がって目を閉じなさい」

「使用人のあたしがご主人様のベッドに上がるなんて」

「わたくしの言う事が聞けませんの?」

 有無を言わさぬ一声に押され、あたしはおそるおそるアーゼちゃんの使用されているベッドに上がり、中央で仰向けに寝転んで目を閉じます。

 普段寝床として使わせてもらっているソファーより心地良い感触が背中に伝わります。

 これからどうなってしまうのでしょうか?

 パチン、と部屋の明かりを消す音が聞こえました。

 程なくして衣ずれの音が聞こえてきます。

 そして十数秒後、あたしの身体に何かが被せられました。

 被されたそれはふんわりとして柔らかく、暖かみを感じます。

 そして––––

「……アーゼちゃん!?」

 最初に感じたのは滑らかで柔らかい皮膚の感触と少し低めの体温。

 思わず目を開けるとそこにはあたしの腕に抱きつく、細かい装飾が施された黒の下着のみを身に纏ったアーゼちゃんがいたのです。

 どうやら先程身体にかけられたのは羽毛布団だったようでした。

「ちょっと、何勝手に目を開けていますの!……まぁ良いですわ。もっと端の方に寄りなさいな。わたくしがベッドから落ちて怪我でもしたら責任取れますの?」

「あの、どうして?」

「うるせー抱き枕ですわね。わたくしが『枕』にすると決めた以上、これからあなたは飽きるまでわたくしの抱き枕なのですわ!」

 抱き枕?

 それってつまり……

「あたしは男の人に抱かれなくても良いんですか?」

「はぁ!?!?!?」

 あたしの疑問に対してアーゼちゃんは低い声で唸るように返すとその綺麗な顔を憤怒の表情に染めました。

「ロゼ。誰なんですの?あなたを抱きたいなどとのたまったゴミは。今すぐそいつをぶち殺しに行きますわよ?」

「いえ、違うんです!あたしが勝手に勘違いしただけで、誰もそんな事は言ってません!」

 慌てて否定します。

 実際アーゼちゃんは半年程前にあたしを押し倒して◯辱しようとした男二人をころころしちゃった事もあるので、誤解をそのままにしておくと冗談ではすまなくなるのです。

「……そう。いいこと、ロゼ?あなたはわたくしの物よ。わたくしの目が黒い限り、あなたが男に抱かれる事など一切ないと知りなさいな」

「アーゼちゃん……」

 ぎゅっと力強くあたしの身体が抱きすくめられました。

 少しだけひんやりとしたアーゼちゃんの体温が心地良く感じます。

 あたしはまだアーゼちゃんの下にいていいんだ。

 そう思ったら安心したせいか緊張の糸がプツリと切れて。

 あたしは意識を手放しました。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 ヒロイン、ロゼのイメージ(AIイラスト)及び設定を載せてあります。

https://x.com/niiesu/status/1946046017109098818

https://www.goodnovel.com/book/キャラクター設定紹介用_31001079614/ロゼ_13498062

Continuez à lire ce livre gratuitement
Scanner le code pour télécharger l'application

Dernier chapitre

  • クレイジーレズと呼ばれた少女、自分が戦闘あり乙女ゲーの大ボス悪役令嬢だと気付いたので開き直って今世で推しのサブキャラメイ   第31話 あなたは!わたくしに!◯されるべきなのですわ!!

     第1章ラスボス戦&第1章完結です。  ―――――――――――――――――――――――――――――――――――― ここはバレスチカ家、わたくしの自室のベッドの上。  時刻は深夜2時。「すぅ……すぅ……」「……寝てますわよね?」 枕元に置いてある炎属性の魔石を動力源にする光源を調整して眩しくない程度の灯りをつけますの。  すると可愛らしい桃色の下着を身につけて穏やかな寝息を立てるロゼの愛らしいお顔がよく見えるようになりましたわ。「ふ、ふふ……」 今まではロゼを軽く抱きしめて、それをおかずにして致すまでが限界でしたけれど、今日のわたくしは一味違いますの。  これからロゼの唇を奪ってやるのですわ!!!  ……。 だって、あの時(第23話参照)は|処刑者《しょけいしゃ》キルリスとかいうカスとレイライトとかいうグレた家出少女のせいでわたくしのファーストキスが|気付け薬《ヘドロ》味になってしまったんですもの!  一刻も早く本当のファーストキスをして上書きする必要があるのですわ! それに今日はダンジョンから帰ったばかりにも関わらず休む暇もなく、王都で延々と手続きをさせられたんですもの。  いっぱい頑張ったわたくしにはご褒美をもらう権利があるのですわ!  ……よし。  言い訳もしっかりした事ですし、早速やりますの。 今ならロゼにキスをしても脳が焼き切れるような事はない気がしてきましたわ。 わたくしは勢いのままロゼの頬に手を添えて、唇を近付けて––––  ちゅっ。 「……ふぅ」  ……。  ほわああああああぁああっ!  ついに!ついにやりましたわ!! ロゼの唇、すっごい柔らかかったですわ!  わたくしの大勝利ですわ!「ふ、ふふふ……」 一拍置いて落ち着いてからもう一度、呑気に寝入ってるロゼの顔を見つめ直していたら、心の奥底からムクムクと嗜虐心が鎌首をもたげて来ましたわ。 ねぇ、ロゼ。  今どんな気持ちですの? 出会ってから3年もの長期間、自分をいいように扱き使い貶めてきた大嫌いな女に、それも自分の知らない間にファーストキスまで奪われて。 うふふ、どんな気持ちなんですの?  ねぇ?どんな気持ちなの?ねぇ?「あなたの初めてのお相手はアクアルお姉様でもアーサー殿下でもないっ! このわたくし、リリアーゼなのですわぁっ!!」

  • クレイジーレズと呼ばれた少女、自分が戦闘あり乙女ゲーの大ボス悪役令嬢だと気付いたので開き直って今世で推しのサブキャラメイ   第30話 殿方との婚約なんて真っ平ごめんですわ!

    「わたくしがアレイスター殿下の婚約者に?」 陛下からご提案された内容を聞いた感想としては納得半分、驚き半分、と言ったところでしたわ。 納得についてはまずそもそもの前提として、原作の『ふぉーみら』においてリリアーゼは3人いるアレイスター殿下の婚約者候補の1人でしたものね。  だからわたくしと陛下が顔合わせをした以上、向こうからそう言った話を持ちかけてくる事は予想できてはいましたけれど。「陛下。お尋ねしたい事があるのですわ」「うむ、もちろん構わぬよ。急にこのような事を言われたところで気持ちの整理がつかぬだろうからな」「では遠慮なく。陛下はわたくしを殿下の婚約者にしたいんですの?婚約者候補ではなく?」 わたくしが疑問をぶつけると、陛下はカッと目を見開きましたわ。  どうやらクリティカルだったようですわね。「バレスチカ家の子息子女は皆優秀だと聞いてはいるが、流石に驚いたぞ。確かに元々リリアーゼ嬢にはアレイスターの婚約者候補としての打診をする予定だった」 ちなみに婚約者候補はリリアーゼを除くと主人公で聖女候補のシャルロットと公爵令嬢の2名。 これだけ見れば乙女ゲーらしくもあるのですけれど、リリアーゼは知っての通り男性に興味がなく、公爵令嬢は後に婚約云々とは全くの別件……というかロゼ関係でリリアーゼに絡んだ結果、百合乱暴(控えめな表現)されて純潔を失った事により婚約者候補を辞退するという、殆ど死に設定みたいな物だったりしますわ。「近年は聖女殿が失踪された事もあって何かと他国から突かれる事が多くてな。言ってしまえば国の防衛力を高める必要があるのだ。そして余は国防の観点においてバレスチカ家の武力を高く評価しておる。加えて今回リリアーゼ嬢が成した『最果ての回廊』10階層以降のボス撃破という功績だ。バレスチカ家が王家に忠誠を誓っていないというデメリットを差し引いたとしても関係性を深めておきたい」 なるほど。  つまりわたくしが前世の記憶を取り戻した事によって原作とは違う行動(ダンジョンでの修行)をとった結果、未来が変化したわけですわね。「して如何だろうか、リリアーゼ嬢。其方の嗜好は理解しておるし、世継ぎを産んでくれさえすれば、好きなだけ女を囲っても構わぬと倅のアレイスターも申しておる。加えてこの話を受けるのならグラントを伯

  • クレイジーレズと呼ばれた少女、自分が戦闘あり乙女ゲーの大ボス悪役令嬢だと気付いたので開き直って今世で推しのサブキャラメイ   第29話 クレイジーレズ令嬢ってゲーム(現実)の中でもそう呼ばれてますの!?

     ––––ひそひそ。 耳障りな囁きと不躾な視線がわたくしとロゼ、そしてお父様に向けられますの。 いくらわたくしが目が眩む程に美しいとはいえ、こうも露骨では流石に鬱陶しいですわね。 ていうか、噂話なら本人に聞こえない程度の音量でしやがれですわ。 ここはキングダム王国の王都シュトーにある王城。 王都についたわたくし達はまずマリアお母様をこちらでお借りしてるお屋敷に送り届けてからグラントお父様伝いに対レイライト妨害用の魔道具の調整を宮廷魔術師に注文。 その後はバレスチカ家の養女になるロゼの公式な顔合わせを終わらせ、最後に冒険者ギルド本部に高難度ダンジョン『最果ての回廊』で未知のボスモンスター(とこの時点ではなっている)【処刑者(しょけいしゃ)キルリス】討伐の報告を終えたのですけれど……。 キルリス討伐の褒賞はこの国の王であられるアーサー・キングダム陛下から直接賜るという事で急遽彼の執務室にお父様と共に呼び出される運びとなったのですわ。 まぁそれ自体はいいとして––––。「騎士団長殿と一緒におられるご令嬢、なんと麗しいのだ……」「アクアル嬢も相当な器量だが彼女はそれ以上かもしれぬ」「いや、だが騎士団長殿の次女って確か……」「クレイジーレズ令嬢だったか?噂だとお気に入りのメイドを椅子がわりにしてるかなりアレな令嬢らしい」「なんだって?それじゃあ後ろに控えているあの可愛らしいメイドの子が––––」「まぁ!なんて美しい方なのでしょう。是非お友達になりたいわ!」「ダメよ、早まっちゃダメ!私、クレイジーレズ令嬢と目を合わせたら孕まされるって噂を聞いた事あるわ!」 ……。 とりあえずピーチクパーチクうるさい連中は後で事実陳列罪で訴えるとして、一つ言いたい事がありますの。 クレイジーレズ令嬢ってゲーム(現実)の中でもそう呼ばれてますの!? いや、原作である『ふぉーみら』だと攻略対象達やシャルロットからはリリアーゼ嬢、もしくはリリアーゼ様としか呼ばれてなかったからこんなの予想できる訳ないのですわ! そもそもリリアーゼ嬢より渾名であるクレイジーレズ令嬢の方が長いってのもどうなんですの!? ––––ギロリ。「「「「ひぃっ!」」」」 とりあえず喧しいモブ貴族共に対して軽く殺気を飛ばしつつ、睨みつけてやりましたわ。 すると大半は腰を抜かして蜘蛛の子

  • クレイジーレズと呼ばれた少女、自分が戦闘あり乙女ゲーの大ボス悪役令嬢だと気付いたので開き直って今世で推しのサブキャラメイ   第28話 休む間もなく出張とか、それもはや社畜なのですわ

    「あの子、私の身体が綺麗だったって––––」「アクアル……」 レイライトの境遇を聞いて一筋の涙を流したアクアルお姉様の頭をお兄様がそっと撫でましたわ。  彼女の涙を見るのは半年前にわたくしが彼女の純潔をこの2本の指でぶち抜いて以来の事ですの。 お姉様のお気持ちはよく分かりますわ。  わたくしのような超絶美少女に百合乱暴(控えめな表現)されるならともかく、汚い汚(お)っさん達に◯されまくるとかマジで洒落になりませんわよね。 どおりで原作の『ふぉーみら』でレイライトのそういったシーンがない訳ですわ。  むしろ描写したらそれはもはやエ◯あり乙女ゲーではなく、ただの美少女◯教◯辱エ◯ゲーですの。 「お父様。レイライトに危害を加えたのは枢機卿だけではないですのよね?他のカス共はどうしてますの?」「調査の後、枢機卿の周辺と関わった者達は全て我が族滅した。またその後、もし神殿の関係者が再度聖女を害するような事があれば、我らバレスチカ家総出で神殿に属する者を一人残らず家族と従者に至るまで殲滅すると通達してある」 あぁ、そう言えばレイライトが失踪した後、神殿の上層部の者達とその家族が揃って暗殺されたというニュースを聞いた事がありましたわ。  あれはグラントお父様の仕業でしたのね。  ……これじゃ、わたくしが◯るところが残ってないじゃねぇですの。 『ざまぁ』は実際にカス共を痛めつけてぶち◯すところまで描写しないとスッキリ出来ませんわよ? 「ともかくレイライトが生きていると分かった以上、アレは我が連れ戻す。貴様達も情報を得たら我に––––」 「待って、父さん。一つ確認しておきたい事があるの」 お父様が話を締め括ろうとしたところに涙を拭ったお姉様が割り込んできましたわ。「さっき父さんが言っていた、『私と父さんの間にそれほど力の差はない』って言葉。あれはお世辞ではないのよね?」「うむ、相違ない」「なら父さんじゃレイライトには勝てないわ。あの子と1対1でやりあって勝てる可能性があるのはリリアーゼだけよ」「なに……?」 お姉様からのご指摘に目を丸くするお父様。  実際、お姉様の言ってる事は間違ってはいませんわ。 原作ゲーム中のステータスは中ボスであるお父様よりラスボスであるレイライトの方が上ですし、そもそも戦闘難易度的には単体でボスをやってるお父様よ

  • クレイジーレズと呼ばれた少女、自分が戦闘あり乙女ゲーの大ボス悪役令嬢だと気付いたので開き直って今世で推しのサブキャラメイ   第27話 可哀想は抜け……うるせーですわ!

     今回いつもの百合乱暴(控えめな表現)とは真逆?の描写がありますので苦手な方はご注意ください。 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――「レイちゃんが!?ねぇ、アルちゃん!それは本当なの!?」「母さん、落ちついて」 『レイライト』という人物名を聞いた途端、血相を変えてアクアルお姉様に詰め寄るマリアお母様。 グレンお兄様は『レイライトが……』と呆然としながら呟いてるし、グラントお父様はいつも無愛想で無表情なのに今は眉が吊り上がって殺気が漏れ出てるしで、お茶の間が凄まじい事になってますの。 話についていけてないのはポカンと可愛らしい口を開けたロゼとわたくしだけ。 ……レイライトってあの【聖王レイライト】の事ですわよね。 原作ゲームである『ふぉーちゅん⭐︎みらくるっ!』。 そのラスボスの。 聖王レイライト。 彼女は『ふぉーみら』において大ボス悪役令嬢である魔王リリアーゼ・バレスチカを倒した後に出てくる、いわゆるラスボスに当たるキャラですわ。 レイライトについてはゲーム中で多少の情報を得る事はできますけれど、分かっているのは彼女の容姿が真っ白な髪に血のような赤い瞳、ホワイトロリータのドレスに白タイツ、白のブーツと、まるでリリアーゼを反転させたかのような超絶美少女である事。 あとは歴代最高の聖女とうたわれた実力者で、ゲーム開始前には既に失踪しているという事ぐらい。 作品の主人公であり聖女候補でもあるシャルロットはある意味、レイライトの後釜とも言えますわね。 レイライトの登場機会はラスボスとして出てくる1回だけですけれど、その際に発せられるセリフから彼女がリリアーゼとシャルロットに対し、並々ならぬ憎しみを抱いてる事が伺えますの。 ちなみに彼女が登場する流れについては、主人公パーティがリリアーゼ戦で勝利した場合は現れたレイライトが満身創痍のリリアーゼにトドメを刺してそのままラスボス戦、敗北した場合は既に消耗しているリリアーゼを舐めプして甚振ろうとするものの、慢心を突かれて返り討ちにされ、そのままバッドエンド(クレイジーレズ)ルートに入る運びとなっていますわ。 以上の説明から察する事はできると思いますけれど、レイライトはその優れたビジュアル自体は評価されているものの、出番が少なすぎた事とリリアーゼのインパク

  • クレイジーレズと呼ばれた少女、自分が戦闘あり乙女ゲーの大ボス悪役令嬢だと気付いたので開き直って今世で推しのサブキャラメイ   第26話 自分の父がキ〇呼ばわりされるのは中々に効きますの

     結局グラントお父様へのご挨拶はアクアルお姉様からの提案で、ダンジョンに修行に行っていたわたくし達3人だけでなく、グレンお兄様とマリアお母様もご一緒する事になりましたわ。  人数が増えたので面会は執務室ではなく食堂でお茶でもしばきながら行う事になりましたの。 わたくしとしてもそっちの方が肩肘張らなくて済むからよきですわね。  ◇  部屋で少し休息をとった後で食堂に行く道すがらロゼとお姉様と合流、そのまま食堂に入室するとお兄様とお母様、そして黒髪黒目で髭を綺麗に切り揃えた軍服の上から黒のコートを羽織った偉丈夫、グラントお父様が家令のスバセが淹れたやっすい原価のコーヒーを啜ってましたわ。 わたくし達の入室に気付いたお父様は席を立つと大柄な体格に見合わぬ無駄のない動きでまっすぐこちらまでやってきましたの。  お父様はわたくしの父なだけあってかなりのイケオジですけれど、軍服を押し上げる程に盛られた筋肉と、お兄様の1.5倍はある肩幅、無愛想な目つきも相まって中々に迫力がありますわね。「ご機嫌よう、お父様」 「久しぶりね、父さん」 「ご無沙汰してます、御当主様」「うむ、3人とも見違えたな。それでこそ我がバレスチカ家の一員よ」 それぞれの挨拶に対して深く頷くお父様。  バレスチカ家至上主義、バレスチカファーストを信条としている彼にとって、こうしてダンジョンから帰還したわたくし達の成長をその目にするのが嬉しいのでしょう。 立ち振る舞いだけを見るなら立派な当主にしか見えないお父様ですけれど、実際には中々にやべーやつですの。  何せ原作ゲームの『ふぉーみら』において彼は投獄されたわたくしを救い出す際、自分が団長として手塩をかけて育ててきた騎士団員を全員、ついでに陛下を容赦なくぶち◯してますものね。 彼が四天王(3人)としてシャルロット達と相対した時の会話でのキレっぷりも相当アレで、ユーザーからはキチ親父と呼ばれてましたわ。 バレスチカファースト、ここに極まれりですの。  わたくしが原作でのお父様の事を回想してる間にお父様はお姉様と向き合ってましたわ。  何か仰りたい事でもあるのかしら。「強くなったなアクアルよ。冒険者協会には我からSランク昇格試験への推薦状を出しておこう」「私が父さんと同じSランクに……?」「うむ。戦いの経験値さえ除けば今の貴

Plus de chapitres
Découvrez et lisez de bons romans gratuitement
Accédez gratuitement à un grand nombre de bons romans sur GoodNovel. Téléchargez les livres que vous aimez et lisez où et quand vous voulez.
Lisez des livres gratuitement sur l'APP
Scanner le code pour lire sur l'application
DMCA.com Protection Status